| Matera[マテーラ] |
| 1993年、世界遺産として認可された街です。マテーラといったらSassi(サッシ)。石、つまり、洞窟住居の集落です。ルーツをたどれば、旧石器時代に遡る疑灰岩の住居は、他に存在しないインパクトで現存しています。 南伊の首都バーリから、列車やタクシーで1時間半くらいのマテーラを訪れたのは数年前のことです。トルコのカッパドキアともまた異なる洞窟住居を目にして、初めはア然。別世界、そして異国に迷い込んだ印象を受けたものです。 ところが、洞窟住居を歩いていると、現代の街では得られない快適なミステリアス気分が生じてきたので不思議。きっと、太古から息づいている貴重な空間が、我々に多くのことを物語っているからではないか。そんな気さえしてきました。 マテーラのことは、昨年発売の拙著、『イタリアは南が楽しい!』(光文社知恵の森文庫)にかなり詳しく記しました。というのも、日本のガイドブックなどでは、けっこう偏見の目で書かれているからです。「不気味」「かつての貧しさがしのばれる」などなど。こういう文は、ネガティブ思考のなにものでもなし。あるいは、実際に訪れてはいない証拠だと思えます。 マテーラの見どころは、洞窟でできたサンタ・マリア・デ・イドロス教会や、サン・ピエトロ・カヴェオーゾ教会、そしてロマネスク様式のドゥオーモと言われています。紀元前800年ころにこの地に住んでいたギリシャ人使用の陶器などが展示されているリドラ国立博物館も興味深いでしょう。 けれども、イタリアに存在する他の古い観光地同様、あてもなくそぞろ歩くことをおすすめしたい。特に今だ洞窟を住処としている人々に「ボンジョルノ」「ボナセラ」と声を交わしながらのひとときが心地いい。南部のイタリア人にしては、やや内気。けれども、親切な住民たちであふれています。 |