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第56回 買い物袋のオバさんオヤジ ずいぶんと前のことです。「男のオバさん」なんて言葉が生まれましたよね。広めたのは、永六輔さんではなかったでしょうか。 我が町バリアーノにも、そんなオヤジがひとりいます。なぜか、毎日のようにすれ違う。私は自転車、オヤジは徒歩でのおつかい。時間帯はマチマチに出かけるのに、どーしてこうも頻繁に出会うのでしょう。深い謎です。 そのオヤジは、年のころ60歳前半。みごとにスマートな長身体型です。190センチほどの身長に、70キロはない体重。夏場はショートパンツ姿が多いため、針金のごとき脚がブキミなりけり。まあね、細いってことはいいんですよ。そういう人、イタリアにもいます。 ただ、「うーむ…」と毎回うなることがあります。それは、今どきオバさんだって持たないような、古めかしくもフェミニンちっくな布製も買い物袋の存在。しかも、手にさげているのじゃないところがゾ――ッ。腕にかけて歩いてるんですよ〜お。コワイでしょ〜? フーム、フムフム。このオヤジ、おカマさんなのだろうか…。いつもだれかに聞こう聞こうと思いつつ、みごとに忘れたまま数年が経過。考えるに、ここまでオバさんしてるのは、おカマさんというわけじゃないのかもしれない。わけもなくそんな気がする私です。 でもね、決してさわやかなものではありませんよ、このオヤジとすれ違う瞬間って。「チャオ!」を交わそうというムードじゃない。一瞬、金縛り状態となるのが常です。 我が犬ケンは、おカマさんに対してけっこう敏感。気にいっているのかキライなのか、やたらキャンキャン吠えまくります。そうだ、ケンを「リトマス紙」にしよう! 野原の散歩コースを変え、町内をいっしょに歩く日を設けました。それなのに、フェ〜ン、決して、オバ・オヤ(オバさんオヤジ)とすれ違うことがないんですよお。人生って、皮肉! ともかく、ここまでのオバさんモードも珍しい。個性を通りこした魔力すら感じます。 (c) タカコ・半沢・メロジー
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