|
第31回 奉仕的料金のお仕立て おしゃれのステータスが「ブランド」とは考えないのがイタリア人です。最もゴージャスとされるファッションはなんでしょう? それは「fatto a mano(ファット ア マーノ)」。手作り、ということです。 よって、スタイリッシュの極地とされるのはお仕立ての服。この国には、オートクチュールから主婦の片手間作業にいたるまで、実にさまざまなサルタ(仕立て女性)が存在します。「片手間」とはいえ、そこはイタリア人。アーティスト感覚に満ちた国民ぞろいのせいでしょうか。プロなみ、いえ、それ以上のすばらしいセンスと腕前を持っている女性がいっぱい! 加えて、お仕立て代も安いと着ています。こんなにうれしいことって、そうそうありません。 たとえば、町内のカロリーナがいい例。3人の子供を持つマンマです。どんなに技術を要する服でも、型紙ひとつとらずに布地をカットしてしまう天才的なサルタ。「好きなのよ、服を縫うのが。楽しくってしかたがない。なによりもの趣味ってわけよ」。そう言って、お仕立て代はバカ安な料金を告げるのみ。「プロとして縫ってるんじゃないんだから…」と主張するのです。 ここ数年は、末っ子のジャコモの子育てで、サルタを休業中だったカロリーナ。タダ同然の料金で、お直しのみを引き受けていました。が、ジャコモが高校生に成長。またもや、サルタに復帰してくれました。うれしい! 待ってました、とばかりにお願いしたのは、母のブラウス。シンプルなデザインの長袖を頼みました。 仕上がったブラウスは、以前同様、大満足のできばえ。「おいくら?」と聞く私に、「8ユーロ」と答えるではありませんか。約千円です。ジョーダンでしょ! 「いいのよ、趣味でやってるようなものだから」。そういわんばかりの彼女に、ケンカごしで10ユーロ(約千2百円)受け取ってもらいました。 (c) タカコ・半沢・メロジー
|
|||||||
|