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第13回 「イタ・江の島」のおじさん 宿泊の5つ星ホテルには「エセ・スノッヴィズム」が漂っていたものの、イスキア島じたいはカジュアルなムードです。高級リゾート地、とはならないでしょうね。島のところどころが「イタリアの江の島」みたいでした。 ホテル周辺のお店が楽しい! すぐ近くの洋品店のオーナー夫妻がサイコーでした。下着からドレス、海水浴用グッズ、各種お土産用品など、オールマイティに揃っている雑貨屋さん。メインに仕切っているのは50代くらいの奥さんです。 ――そろそろシーズンも終わるからね。安くしちゃうよ。みんな。さあ、買っていって。 みごとな元気さで客と接しています。いかにも、「イタリアのおじさん」イメージそのものの中太りタイプの御主人も愉快。笑顔を絶やすことなく店内をウロチョロ。英仏独伊をゴチャゴチャに混ぜながら、お客さんとおしゃべり。これがまあ、お気楽そのものの会話なんですね。フランス人の中年女性客相手に、こんなおしゃべりをしていました。 客 これ、なに? おじさん 大判のスカーフだよ。 客 大判? どのくらいのサイズかしら? おじさん うーん、マ、大きいの。すごく大きい。腰にまいてフラダンス、という感じ。客 ン…? おじさん ハハッ、よくわかんないやね、これじゃ。まっ、いーじゃん。 とまあ、こんなふう。店の商品をプッシュするでもなし。奥さんはただただ苦笑。「なにバカ言ってんだか」の表情を浮かべつつ、他の客に猛烈に売りこみをしています。 「よかったわね、いい奥さんに恵まれて。幸せよね、おじさん」と私。すると、首を小きざみに振ってから、こんなリアクション。 ――うーん……マ、ディチャーモ、デ……シ(まあ、ねぇ……そう言っておこう)。 絶妙の間、そして返答に、店内、大爆笑。心なしか、お客さんの数も増えてきたようです。 (c) タカコ・半沢・メロジー
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