◆12月のテーマ◆
あたたか〜いお気楽さの南伊


第13回
「イタ・江の島」のおじさん


宿泊の5つ星ホテルには「エセ・スノッヴィズム」が漂っていたものの、イスキア島じたいはカジュアルなムードです。高級リゾート地、とはならないでしょうね。島のところどころが「イタリアの江の島」みたいでした。

ホテル周辺のお店が楽しい! すぐ近くの洋品店のオーナー夫妻がサイコーでした。下着からドレス、海水浴用グッズ、各種お土産用品など、オールマイティに揃っている雑貨屋さん。メインに仕切っているのは50代くらいの奥さんです。

――そろそろシーズンも終わるからね。安くしちゃうよ。みんな。さあ、買っていって。
みごとな元気さで客と接しています。いかにも、「イタリアのおじさん」イメージそのものの中太りタイプの御主人も愉快。笑顔を絶やすことなく店内をウロチョロ。英仏独伊をゴチャゴチャに混ぜながら、お客さんとおしゃべり。これがまあ、お気楽そのものの会話なんですね。フランス人の中年女性客相手に、こんなおしゃべりをしていました。

客 これ、なに?
おじさん 大判のスカーフだよ。
客 大判? どのくらいのサイズかしら?
おじさん うーん、マ、大きいの。すごく大きい。腰にまいてフラダンス、という感じ。客 ン…?
おじさん ハハッ、よくわかんないやね、これじゃ。まっ、いーじゃん。

とまあ、こんなふう。店の商品をプッシュするでもなし。奥さんはただただ苦笑。「なにバカ言ってんだか」の表情を浮かべつつ、他の客に猛烈に売りこみをしています。

「よかったわね、いい奥さんに恵まれて。幸せよね、おじさん」と私。すると、首を小きざみに振ってから、こんなリアクション。
――うーん……マ、ディチャーモ、デ……シ(まあ、ねぇ……そう言っておこう)。

絶妙の間、そして返答に、店内、大爆笑。心なしか、お客さんの数も増えてきたようです。
(c) タカコ・半沢・メロジー 

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