◆11月のテーマ◆
「死者の月」でも元気、元気!


第7回
葬式、それとも結婚式?


墓参ファッションのみならず、葬式への参列でもカラフルに着飾るのがイタリア人たち。「喪服」などというのは存在しません。つまり、フネラーレ(葬式)用の黒い服というのはないんですね。「まさか!」と驚かれるのは当然。私だって、初めてイタリアのフネラーレを目撃した時は、ガク然としました。しかも、初目撃は町のドまんなか。車に乗っていると、いきなりゾロゾロ。霊柩車の後ろから、カラフルなファッションの男女行列が続いていたのです。我々、通常の車は、すべてストップ。行列が終了するまで待たなければなりません。

今や、この慣習に免疫ができたのでしょう。ごく当然のこととして、行列がすぎ去るまで待ち続けます。ただし、相変わらず首をかしげざるをえないのが参列者の服装。ふだん着からドレスアップ派までさまざまながら、なんとも華やいでいるのです。

たとえばラガッツォ(若い男性)。鮮やかなカラーのスポーツウェア着用、などというケースが少なくありません。女性ともなるとエレガントだったり、やけにスタイリッシュなデザインの服を身につけていたり。「葬式」というより、結婚式、その他のセレモニーの感覚なんですよね、ファッションに関しては。
ただし、墓参りとは異なります。いくら人が集まっても、「サロン」化することはありません。皆、それぞれに厳かな表情で故人を見送ります。

町内で最も親しいつきあいのグラッシ家の主人、ヴィットリオが亡くなったのは2年前。イタリア人には習わず、黒い服で参列しました。気のせいか、ずいぶんと視線が集中した感じです。奥さんのマリーは、けなげにも涙は見せないまま。終始、穏やかな表情を保っていたのには、かえって胸がしめつけられました。「長身のヴィットリオが、こんなに小さなとこに入れられちゃって…」の彼女のひとこと、未だに忘れられません。
(c) タカコ・半沢・メロジー 

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