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第6回 11月は「死の月」。でも… 「チャオ コメ ヴァ?(元気?)」のあと、必ず続くのが次のフレーズ。 ――両親、元気? うーん、つい2、3日前に会ったばかりでしょ。その時も同じセリフだったじゃないかぁ。イタリア人ってホント、ファミリーに対して過剰なアンテナを張るんだから…。80歳に近い父母がピンピンしてる、というわけでもないけど、マ、なんとかやっている。「元気よー。ありがとう」と答えましょう。さもないと、「エッ、なんだって? それはタイヘンじゃないか…」のオーバーなリアクションとなるだけです。 「次はいつ日本へ行くの?」と聞いてきたのはクリスチャン(25歳)。そうです。新著『フェラーリ家のお友だち』の主人公である青年。「たぶん11月ね」という私に、ジョーク好きの彼が言いました。 ――なんだよお。“死の月”じゃないか。妙な月を選ぶもんだよ、タカコは。 おいおい、クリスチャン、「死の月」とはあんまりじゃないかい、と抗議したいものの、事実ときているのでいたしかたなし。11月1日がTutti i Santi(トウッティ イ サンティ)=諸聖人の日の国定祝日だからでしょう。1か月間、日本のお彼岸のような日々となります。 信仰心のあつい国民性ゆえ、毎日墓参りのイタリア人も少なくない。が、11月には、常日頃お墓へ足を運ばない人たちまでやってきます。町内の墓地とて同様。いつもは、地味な服装の中年、あるいは老人の姿が多いのに、「エッ、エッ、エッ? なんなの、いったい?」の華やかムードに満ち満ちます。なぜって、着飾った老若男女が三々五々集まるから。まるで「ガーデン・サロン」と化すのです。 タダでさえ立ち止まってのおしゃべりが好きなイタリア人。11月の墓場はひたすらにぎわい、「ハーッ、他国じゃ見られない光景」となります。こういったお気楽さも、死者への真の供養となるのかもしれませんね。 (c) タカコ・半沢・メロジー
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