第58回 不気味なジャパニーズ光景 (1)
この夏、8月10日。イタリアから日本にむけて出国する前のことです。空港に向かうシャトルバスの中でのアメリカ人女性の会話。
「日本人はね、ブランドしか買わないのよ。ホラ、見てよ。あの若いカップル。巨大なプラダのバッグを抱えちゃって」
「ほんと。あっちの女性たちは、ヴィトンやエルメスのバッグ。まるでブランドだらけ」「ヴィトンやエルメスって、フランス製。いったい、なにしにイタリアへ来てるわけ?」「きっと、美術館や教会なんかは見学してないのよ。これだからやーね〜、成金ジャパニーズって」
私がサングラスをかけていたせいか、日本人とは思わなかったのでしょう。隣席なのに、言いたい放題のイングリッシュ会話。フム、それともわざと聞かせたかったのかもしれませんね、日本人観光客に対する皮肉を。
翌日のお昼前に成田着。実家へ向かう電車の中では、別の「実にジャパニーズな風景」を目撃しました。前席に座った3人の若い女性が、すべて似たようなファッションだったのです。茶髪、厚底の黒いサンダル。同じメーカーとさえ思えるサンダルだったのには、本当に驚いてしまいました。加えて、脚の組みかたも同様(車内なのに、堂々と脚組みをしてしまう、ということもすごい!)。おー、これぞミニタリー! 他国ではお目にかかれない「パノラマ」に、ずっと見入ってしまった私でした。
と、3人の女性、ほぼ同時にケイタイをバックから取り出すではありませんか。ピッピッと指を動かしてのメール打ち。なんなのー、これ? 日本ほどテクノロジー化していない国暮らしの私としては、どうにも理解に苦しむばかりでした。
そういえば、日本を訪れたイタリア人たちはいっせいに言っています。
――日本人って、ケイタイのメールばかり気にしてる。かなり不気味だよね。
(次号に続く)
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