第44回
食材運び目的の帰郷
日本では減りつつある夏の帰郷。イタリアの場合、まだまだ元気に続行されています。たとえば、近所の主婦アントネッタ。南伊のバジリカータ州の出身です。御主人はナポリの生まれ。ふたりの子供たちを連れ、どちらかの地に里帰りするのが常。えんえんと車を走らせての旅です。ナポリまでは約半日。バジリカータだと1昼夜かけてのドライブだと言っていました。
「なぜ飛行機を利用しないのか?」ですって!? 私も以前は疑問を持ったものです。ひとつには、4人分のチケット代がけっこうな額になるから。でも、それ以上に大きな理由が秘そんでいる事がわかりました。
それは、大量の食材を持ち運んでの帰路となるから。トマトやナス、ズッキーニ、ピーマン、その他の野菜をドーッサリ。そして、そして、1年ぶんの分量に近い保存用のトマトソースの瓶。親族の手作りによるものです。
――南のトマトは味がまるで違う。ソースの作り方にもそれぞれの家ごとに微妙な差があってね。やっぱり、母親の手作りがいちばん、となるのよ。
アントネッタの発言です。私も毎年、それはおいしいソースを1〜2瓶いただきます。
友人の恋人、歯科医のコジモは、やはり南伊のプーリア州出身。夏休みには必ず車で帰省します。アントネッタと同様、多種多量の野菜、ホームメイド保存食で車をいっぱいにして戻ってくるとか。プーリア州の伝統のパンまでドッサリ。親しい友人たちに配るのが恒例となっているそうです。
アントネッタやコジモたちは、故郷でどんな休暇をすごすのでしょう。尋ねてみました。
――親族や幼なじみたちと会食したり、おしゃべりをする毎日。特別、なにをするってわけじゃないのよ。でも、すごくリラックスできるのね。
こういうバカンスこそ、実は真にリッチでおしゃれな夏のひとときと感じます。
(c) タカコ・半沢・メロジー
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