第36回
スローフードのポリシーと現状


スローフード協会シエナ部の責任者マルコによると、「子供の頃からの食習慣が大切」とのこと。小さい時に得た味覚は決して忘れない。それが将来の食生活、食への関心につながっている、との主張。「いい例がこの僕。子供の時、口にしたシンプルなトマトソースの味をよく覚えている。トマトやオリーブオイル、ハーブなどの自然な食材の味が重要だって感じられるのはそのせいだと思うよ」。

旬の味を生かしたナチュラルな食材による料理をすすめるのがスローフードのポリシー。その土地でとれた農産物、家畜類も推奨しています。となると、当然ながらコストアップでは? そんな疑問が生じます。
「確かに!」とマルコ。「でもね、イタリア人の思考も変化してきた。今は量より質の時代になったって言える。たとえば、普通の生ハムを300g買うより、上質生ハムを150g求めて味わう、といったぐあい。特にシエナの人達はそういう傾向が強くなったね」。
質の良い食材さえあれば、品種だって少なくってもかまわない、といいうのがマルコの考え。「極端なこと言っちゃうと、パンとオリーブオイルだけでも大満足。品質さえ優れていれば、充分味覚を楽しめるって気がする」。スローフードの原点的な発言でしょう。

さて、ヨーロッパで大問題の狂牛病に関してはいかに? 伊語ではmucca pazza(ムッカ パッツァ)といい、ちょっぴり可愛い(?)響き。
「検査の厳しい今の方がかえって安全」というイタリア人も多数。わざと、「牛肉をたらふく食べよう」などという会が催されたりもしています。ただ、「子供のためを思うと心配」となる親が少なくありません。特にマンマの立場での意見、とか。鶏肉や七面鳥、うさぎを食べる回数が増えているようです。
だからというわけでもないのでしょうが、マルコ企画の夕食会は、「猟の獲物を楽しもう」。会員中、40人強が参加というこのディナーに招かれた私。さあ、どんなお食事会でしょう。
(c) タカコ・半沢・メロジー 
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