第34回
スローな旅にてスローフードの会に


旧知の友人であるマルコ(45歳)は、トスカーナ地方の美しい街シエナ住まい。郊外の丘陵地帯に、愛妻マニュエラ(40歳)、そしてひとり息子のニコロ(16歳)、ダルメシアン(犬)と暮らしています。

20年程前に知りあった当時から、夫妻の美食家ぶり、料理上手に接していた私。クチーナ・カサリンガ(家庭料理)をごちそうになるばかりではなく、レシピも伝授されたものです。忘れられないのがマルコの作ってくれたUova al pomodoro(ウォーヴァ アル ポモドーロ/卵のトマトソースぞえ)。玉ねぎのみじん切りと缶詰のトマトをオリーブ油で炒め、卵を加えるだけの簡単料理です。パンのみならず、ご飯にもよくあう1品として大活用。これぞ家庭の味、というイタリアンはあきることがありません。

そのマルコが、スローフード協会シエナ部に関与している、とのこと。3月7日、デモンストレーション的な夕食会がある旨、連絡が入りました。この会と交流のある日本人向け料理学院も開講中とのこと。よい機会なので、訪れる計画をたてました。時は初春。久々のシエナ行きに胸がときめいたものです。ところが――。

我が家からシエナまでの距離は、約450km。ミラノ、フィレンツェと列車を乗り継ぎ、所要数時間というところ。けれども、前日のストの影響か、各列車が遅れに遅れるトラブルが発生。9時間半もかかってのシエナ着となりました。これがイタリア! 「スローフード」ならぬ、「スロートラベル」もいいところ。大幅遅れのストレスから疲労困ぱいの私でした。でも、なだらかな丘陵に点在するオリーブの木々を目にしているうち、懐かしさがジワジワ。かつて暮らしていたトスカーナでの日々がよみがえり、「スローな旅もいいものだ」と思えてきました。

日本でもすっかり耳慣れた「スローフード」の発祥地イタリア。シエナ部での活動ぶり、その他をお伝えしていきましょう。
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