第31回
エサ選びもまた楽し


前回のモンテ・ナポレオーネ通りは、夕刻からの犬連れ風景。他の街中では、朝から晩までいつも目につくのがイタリアです。ミラノのような大都市でも犬を飼っている人たちが多いから。
「アパートでも?」
そうです。この国では、集合家屋でのペット規制がありません。これはイタリア以外のヨーロッパ諸国も同じ。各自の責任のもと、他家に迷惑をかけずに飼うならすべてOK、となります。アパート住まいですからペット天国ゆえ、庭のある家ではなおさら。町内の一家建てのほとんどが犬を飼っています。なかには、3匹、4匹の大型犬のいるところもすくなくありません。

イタリアでのいちばん人気犬は、なんといってもジャーマンシェパード。本場ドイツよりも多い所持率ではないでしょうか。雄々しく、それでいて優しい。トータル的に最もおりこうな犬、というのが理由のようです。

我が家のケンもジャーマンシェパード。ところが生まれついての胃弱犬で、生死をさまよった末に辛うじて生きながらえました。親犬のはんぶんしかないミニチュアサイズのままです。胃弱の持病をかかえているため、エサはいつも手作り。七面鳥をメインに、人参、キャベツ、その他の野菜をじっくり煮込んだスープにご飯を入れたメニューが定番です。助かるのは、スーパーや個人の肉店でお安い骨付き肉が入手できること。スーパーなどでは、1コーナーにそういった肉ばかり置かれています。愛犬家たちがあれこれ熱心にセレクトしている、というわけです。

いつか、骨付き牛肉を手にしました。たまには牛もいいだろう、と。すると、そばにいたシニョーラから声をかけられました。
――こっちのほうがたくさん肉がついているわよ。これにしなさい。
本人は肉の少ないパックを求めて行きました。ペットのエサ選びにも会話のある生活。これこそおしゃれな人生という気がします。
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