第26回
クリスチャンの無謀な初来日
20世紀最後の帰国をしたのは12月10日のことです。いつもながら、急に決めてのあわただしい日本行き。アムステルダム経由のKLM(オランダ航空)チケットを購入しました。なぜ? 冬期特別割のエコノミー運賃だったし、拙宅からさほど遠くないミラノ・リナーテ空港からの出発だったからです。
アムステルダム空港からの乗客は、メインの日本人を除けば、オランダ人を中心にしたゲルマン系の人々がほとんど。ミラノ・マルペンサー空港 → 日本の直行便ならいざ知らず、イタリア人らしき姿がなくて当然でしょう。
ところが――。
隣席で日本の新聞を見ていた青年に英語で声をかけられました。「読む?」 ええ、ありがとう。あなた、日本語がわかるの? そう尋ねました。「ぜんぜん! エアホステスから渡されたから、ながめていただけ」。ン!? 彼の英語、どこかイタリア訛り。ひょっとして……。そうです。彼、正真正銘のイタリア人でした。
名前はクリスチャン・フェッラーリ(24歳)。スーパー・スポーツカーであまりにも有名なフェッラーリ本社のあるモデナ在住。「でも、親族とかじゃないからね。けっこう平凡なファミリーネームなんだよ、イタリアでは」とのこと。なんと、帰りのフライト(12月18日)まで同じとわかり驚いたものです。
このクリスチャン君、日本は初めて。しかも、数日前、突然思いついて選んだひとり旅とか。「テクノロジー最新国の日本の“今”が見たいから。小さい頃からテレビのアニメ番組やニュースを通してしか知らないので」との理由だそうです。「で、ホテルは?」。「決めていない。空港かどこかで探すつもり」。
若い身ゆえ、旅費にはごくごく制限がある様子。とうとう、私が宿を決めてやり、最寄りの駅まで連れて行くことになりました。
はてさて、クリスチャン君の見た初めての日本、どんなことになりますやら……。
(c) タカコ・半沢・メロジー
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