第23回
すべてのセンスはボタンから
前回、イタリア人のボタンこだわりがいかにすごいかをお伝えしました。その理由は――。これがまあ、シンプルそのもの。
この国の人達にとってのボタンは、服のデザインや材質以上に重要なおしゃれポイントになっているから。ボタンひとつで、同じ服でも大差が発生。エレガント、あるいはスタイリッシュな一着かどうかは、ボタンによって大きく左右される、と主張します。
「ボタンが気にいったから」ということだけで、かなり高額なスーツを購入した女性がいました。フィレンツェのブティックでのことです。イミテーションの宝石を散りばめたゴージャスなボタンのついている一着。いかにもオリジナルのボタン、ということがわかります。「色とデザインはもうひとつだけど、このボタンに魅かれるわ」と彼女。お店の人は大きくうなずき、こう告げました。「そうなんですよ。このスーツはボタンが特徴。ハイプライスなのも、半分以上はボタンのため。服はいらないから、ボタンだけ売って、なんて言われたりもするんですよ」
服より高いボタン? まさかぁ…。そう思われるかもしれません。ところがあるんですよ、バカ高いボタンが。1個1万円前後、というぐあい。それはデリケートな細工をこらした手作りだったり、ベネチアングラス製のボタン、といったものがそう。ちょっとおしゃれな街の大きな小間物店では、必ずそんな高級ボタンが売られています。
ボタンで服の良さがグレードアップ、と主張するイタリア人たち。お仕立て服のボタン選びはこりにこって当然ながら、既製の服だって同じこと。つまり、ついていたボタンをチェンジしちゃうのです。店に服を持ち込み、あれこれボタン選びをしている女性を何人も目撃しました。すごいなー、このパッション。ホンモノのおしゃれって、こういうことを言うのね。ファッション誌では学べないおベンキョーをしている気分です。
(c) タカコ・半沢・メロジー
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