第22回
みごとにハマる店とは?
イタリア暮らしを始めたころ、伊語をまったく解さなかったため、戸惑うこと多々ありだった私。「チャオ」や「ボンジョルノ」「グラツィエ」だけではすまないのが日々の生活です。買い物ひとつ、一苦労でした。
たとえば、洋品小間物店と肉屋をしばし混同。なぜって、前者はmerceria(メルチェリア)、後者がmarcelleria(マルチエッレリア)だからです。まぎらわしいと思いませんか? どちらの店も、小さな村や町にだって必ず存在。けっこう豊富な品揃えなのがイタリアらしい気がします。
実は私、昔からハマリにハマる店あり。それは文具店、そして洋品小間物店。旅の途中でも、この2店に足を踏み入れることを欠かしません。店内に入るや否や、30分、1時間と物色、いえ見学。それくらい興味深い品々であふれているのがイタリアです。あまりに熱狂しまくっている私に根負けしたのか、奥の倉庫まで見せてくれた店までありました。今となっては、なによりに旅の思い出です。
我が町には、小間物屋が2軒。トスカーナ地方からここベルガモ県に転居した当時は(‘89)、教会近く、初老の婦人経営の店に入りびたっていました。今は貴重となった、貝製ボタンのストックがいっぱいあったからです。
「わー、すごい!」「信じられないっ!」。大騒ぎする私に、オーナーが苦笑。「そんなに珍しいかねえ。マ、近ごろはあまり作らなくなったからね。それにしても…」とあきれられました。
「で、何に使うの?」と聞かれ「ノン ロ ソ(わからない)」と私。ただ欲しいだけ。だって、こんなにステキなんですもの。そう伝えると、さらに驚かれてしまいました。
イタリア人のボタン選びが慎重なことといったら! たったひとつ求めるにも、何十分もかけてセレクトするのがふつうです。お店の人も嫌な顔せず、実に根気よく対応。ごく当然のごとくつきあっています。なぜここまでこだわるかは、来週のお楽しみに!
(c) タカコ・半沢・メロジー
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