第16回
アバウトながらカリスマ美容師?


「枝毛」の悩みはイタリア女性にもあり。ロングヘアか否かにかかわらず、しばらくカットしていないと発生。この国では、「ドッピオ プント(二股分かれ)」と呼びます。
弘美さんはベネチア住まい。ある日、枝毛カットもかねた毛ぞろえのため、地元のヘアサロンへ行ったときのこと。ミラーの前に座ったとたん、こう言われたそうです。「ちょっと、立って」。なんのことはありません。立ったまま、毛先を切られたのでした。
「日本なら、そんなことする? お客さんを立たせて仕事するなんて。まったく、こっちの美容師ってアバウトなんだからぁ」
ホント、ホント、同感です。特に、洗髪なんかすごいですよォ。いきなりバーッとお湯をいっきにかけられ、ドバドバドバーッとシャンプー液。すごい勢いでモシャモシャと洗われ、またお湯をバーッ。デリカシーのカケラもないため、お湯やシャンプー液が耳の中まで入ったりします。
ヘアカットも大胆そのもの。ジョキジョキ切られ、手早くフィニッシュ。ハケや布ではらってくれるようなことはありません。よって、顔や首、背中にまで、細かい毛がいっぱい。帰宅するや、顔を洗い、服を着替えるか、シャワーでも浴びないことには不快な限り。日本でこんなことをしたら、悪い評判がたつはず。「もう2度と行かない!」となることでしょう。

何年か前、日本でヘアカットしてもらった私。それはそれはていねいなお仕事ぶりで、なんだか女王様気分。シャンプーの時は、「お湯、お熱くありませんか?」と聞かれたり、気持ち良いマッサージと共に洗髪。カット後は、切り毛など1本も体に残らないパーフェクト仕上げでした。いいわー、との感動の反面、あまりの丁重さに緊張したのも確か。加えて、マニュアルどおりのカットになった気も…。アバウトながら、ダイナミック作業のほうになぜか「カリスマ」を感じたものです。
(c) タカコ・半沢・メロジー 
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