第14回●白髪と黒髪

犬の散歩と同じように、日課となったことが生じた今秋。季節のせいでしょうか。なぜか白髪が1本、2本と目立ちます。「年のせい」としないのがイタリア思考。秋だからこそより気になる、と思うことにしましょう。

それにしても、あまりにも鮮やかな白。ブラックヘアゆえに、ひときわ目につくばかりです。「えーい!」と抜いてしまうのが常。このところの新たな日課、というわけです。
ある日、近所のシニョーラ(奥さん)から言われました。「タカコって白髪、ないのね(年のわりに…)」。あらー、そんなことないわよ、と私。「抜いているのよ。せっせと」。そう答えたのでした。
すると彼女、大声で発言。「そんなことしちゃダメッ! 1本抜くごとに数本の白髪が増えるんだから。いいこと、絶対にダメよ」
愉快なのは、日本の友人から、正反対の忠告を受けたこと。「白髪を抜いているとね、毛がどんどん少なくなっていくらしいわよ」
これって、ちょっとしたポジティブ対ネガティブな思考の差。白髪抜きにまで国民性があらわれているようで面白い気がします。

イタリアには、白髪の女性がさほどいません。なぜ? 白くならないの? いえいえ、若白髪はむしろ多いし、年齢に平行して増加するのは日本と同じ。ただ、少しでも目立ってくると、染める女性がほとんど。よって「白髪なしのイタリア人」的印象を受けるのです。近所に住む主婦アンジェラは、20代後半より白髪がはえ始め、30代ではドドッ。50手前の今では真っ白、とか。いつも完璧なヘアカラーをしているため、信じられないくらいです。
「いろいろなカラーを試したけれど、黒がいちばん! 知的でエレガントな感じ」と言うアンジェラ。日本では今、茶髪やブロンドにする人も多いのよ、と告げるとビックリ。「惜しいわねー。せっかくきれいな黒髪で生まれたというのに…」と溜め息をもらしました。とても複雑な心情となった私です。
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