●第7回●
町いちばんのセンスに学ぶ その1


「エルボリステリア」という店を御存知でしょうか? 直訳すると自然薬草店。古くからイタリアに伝わる薬草やハーブ、その他天然資源から作られたコスメ&薬局店のことです。どんな小さな町や村にも、伝統的、あるいはシャレたエルボリステリアが存在します。

我が町では金髪も美しい中年のシニョーラ(婦人)アドリアーナがオーナー。それはエレガントな店構えです。このシニョーラこそ、実は町いちばんのおしゃれ人間。いつもオーソドックスなファッションながら、どこか違う。光り輝く気品があるのみならず、好感度もいっぱい! クラスあるミラネーゼにも負けないセンスの良さを感じます。こういう女性を観察していれば、私もおしゃれになれそう…。そんな気さえしてきます。ときおり、店を訪れては、サポーネ(石けん)を1個買うだけ。それでも、にこやかに応対してくれるのも優雅そのものと言えるでしょう。

ある日のこと、店へ入るなり質問を受けました。「いったい、どうなってるの、日本人は?」。いつになく荒い語気です。「ミラノで目にした日本人観光客、両手に高級ブランド店の袋をいっぱい。若い人ほどそうなのよ。なぜなの。なぜ?」
これは、イタリア人の「素朴なる疑問」のひとつ。よく耳にしては、返答に窮する私です。身分不相応、真のおしゃれとは言えない、どこにそんな大金があるのだろう……などなど、いくら考えても理解できないそうです。

アドリアーナの御主人は、ドイツの大企業のイタリア支社長。つまりお金持ち、かつハイレベルです。でも彼女は断言します。「何十万リラ(何万円)、何百万リラもする服なんか“絶対”に買わないわね。おしゃれって、お金をかけることじゃない。いかに安く、センス良く着こなすかってこと。素材をセレクトしてシンプルなものを選べばまず失敗しないわね。ブランド品はデザインの参考にするだけにしているわ」(次回に続く)
(c) タカコ・半沢・メロジー 
「Confeito」に掲載の 記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
すべての著作権は(有)アルティスタと著者に帰属します。
転載を希望される場合は、 当編集部までメールでご連絡ください。