第4回
労働組合が政治活動をする必要性
次の日曜日は参議院選挙の投票日だ。
世論調査で、例を見ない高い支持率を得ている小泉内閣。その小泉人気に圧倒され、野党は苦戦を強いられている。小泉支持=自民党支持というわけでもなさそうだが、しかし野党各党はかなり強い向かい風の中に立たされている。
労働組合はそのほとんどが支持政党を持つことで政治との関わりをもっている。
何故、労働組合は支持政党を持つ必要があるのか。政治が国民生活に大きな影響を及ぼすことは、頭では分かっていても実感が薄いのが現実であろうし、また、現在の制度、税制が私達の生活を圧迫しているのだから、労働者にとっては政治・政党は“敵”であり、闘う相手ではあっても、支持する関係ではないと思っていた。
佐藤さんはこう説明する。
「暮らしに関わるさまざまな制度を見た場合、どちらかといえば勤労者ではない層の人々に有利にできています。好例は税金です。負担割合でいえば私たちの方が圧倒的に不利になっています。長い間、政権党である自民党が自分の支持層に有利な制度にしていたからで、それをより労働者に有利な制度に変えていくために、政党とスクラムを組み、新たな制度を作り上げていく営みが必要なのです。
所得税・年金などは、私達は賃金の中から支払っていますよね。それらの負担を軽減することも労働者の生活を守るひとつの方法です。民主主義であるこの国で、労働者で組織される労働組合の組合員数を考えた場合、組合の持つ“数の力”を、つまり個人ではできないけれど、団体であるからできること、この力を自分達の生活を守ることに活かすことのひとつが政治活動なのです。
情報労連は現在、民主党を支持しています。自治労、鉄鋼、自動車、電機、ゼンセンなどの組合が手をつないで作る『連合』という、まさに日本中の組合員が参加しているといっても過言ではない組織で民主党を支持しているからこそ、国政レベルのことにも発言することができるのです。
だからこそ、組合員全員が自分達の生活と政治の距離を再認識して欲しいと思っています。私達には政治に影響を与えるだけの力があるのですから。
自民党の政策は、資本家、つまり経営者に有利なものなのです。ですから私達は自民党と対等に闘うことができる民主党を支持するのです。税制が変更される場合にも、自民党の方針が100%通されるのではなく、民主党の意見も確実に反映されています。私達の意見が民主党を通して、実際に国政に影響を与えているのです」。
物事を変えるには、決定権のある人や、場所での発言権が必要なことは当然である。国の制度を改革したいと考えれば、国会での発言が欠かせない。
「政党を支持することだけが、国に対する働きかけではありません。国政よりももっと身近な、生活に直結している地方自治体への政治活動も行なっています。市町村議会議員や区議会議員にも労働組合から立候補し、組合活動とは違う場所から労働者の生活を守ろうとしています。地位や名誉、権力者とのつながりが欲しいわけでも、必要なわけでもありません。ただ、現実の問題として制度・政策を決定する場所に直接参加していかない限り、私達の活動が実を結ばないのです。結果を出さなければ、少なくとも結果を出す努力や方法を取らなければ」。
「以前は、組合員の結束力はすばらしいものがありました。それは選挙の結果などにも確実に表れていました。しかし、今は少し違ってきています。組合員だとしても、個人としては、組合の支持政党をそのまま支持するわけではなくなってきています。
元々は、労働者は貧しかったんですよね。貧しいから共有し合えた気持ちや結束力が存在した。そして資本家と会社に対して敵対心があった。そこでそれに対する抵抗勢力として組合運動が成立した。
しかし、今やほとんどの労働者達は自分が貧しいとは思っていないでしょう。そうなると当然のことながら敵対心も薄れる。その上個人主義的な考え方が主流になってきている。ですから、今労働組合の考え方や運動を広げていくことが難しい時代なっています。
それでも、私は組合の根本は“人のつながり”であり“仲間”だと思っています。人が人として社会生活を営んでいく以上、その形や活動の方向は変わっていったとしても、この考え方だけはつなげていきたいですね」。
次週に続く
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