第2回
給料と賃金の違い


「今日は待ちに待った給料日!! う〜ん…。うれしい…」。
なんて毎月毎月、思っている人がほとんどではないでしょうか。
しかし、労働組合に関係する人たちは“給料”という言葉を使うと “賃金”と言うよう注意されるそうだ。

“給料”と“賃金”。なにが違うのだろうか。
とりあえず、広辞苑を紐解いてみた。

給料=使用人・労働者などに対してその雇い主が支払う報酬。
賃金=労働者が労働を提供することによってうけとる報酬。労働力の価値を貨幣で表したもの。(岩波書店 広辞苑 第5版より)

とあった。そうなのだ。言葉の主体に違いがあるようだ。

佐藤氏はこう説明する。

「労働組合の考え方として、賃金は自分が働いて、そして自分があげた成果として会社からかちとったものなのです。“給料”の“給”という文字の持つ意味は、与えることとか、たまわること。自分の持つ時間や技術、経験を会社に提供して、会社に利益を発生させているのだから、取ってあたりまえ、与えられるなんておかしいと思いませんか?
自分で稼ぐ、という能動的な意識が大切であり、必要なんです。
みなさん、よく給料をもらう…といいますが、そんな受身の考え方をするべきではないと思います。日本では契約という概念が薄いのですが、労働契約ということです」

「ちょっと屁理屈のように聞こえるかもしれませんが、この点は実に根本的であり、象徴的なことだと思います。
日本の社会では、ほんの少し前まで終身雇用が前提であり、生涯一つの会社で仕事を続け、勤め上げることが美徳と考えられていました。そして、当然のこととして、社長をはじめとする経営陣、会社そのものが偉くって、労働者はそれに仕える立場だと捉えられていた感があります。
でも、それはなんか違うと感じたことはありませんか?

実際に現場で働く人間がいなければ、経営も成り立たないし、会社の存在もなくなるのですから、経営者側と労働者側、双方があってはじめて会社が成立するわけですよね」。

「会社に利益をもたらせているのは、社員の労働の成果なのですから、当然のことして利益の何割かは賃金や労働環境、待遇を向上させるよう、経営側に要求する権利があるんです。それを個人で交渉しても、個人の会社に対する影響力なんてそんなに大きくはないのが現実ですし、1人の意見は通らなくとも、10人、20人のまとまった人間の意見であれば経営者サイドも耳を貸さずにはいられないはずです。
そのようにまとまったものが、労働組合なのです。
ですから、会社の規模の大小に関わらず、自分たちの手で労働組合を作って欲しいと思います。自分たちの意見を話す場所を作ることこそが必要なことなのと思いますよ。そういう公式な場所でもない限り、自分より立場が上の人間に対してなにかを進言・提案、まして賃金をあげてなんていうことは日本人にはとても不得意なことですからね」。

「お互いの賃金明細書を見せ合うこともなくなったけれど、他の会社の人の賃金がどのくらいかということは、とても気になりますね。いったいどのくらいだと思いますか。例えば、東京都職員は年収平均900万円。もちろんボーナスが含みます。正確な数字はありませんが、大手銀行ですと30歳で1000万円を超えていると思います。生保、商社などもほぼ銀行と同じぐらい。中央官庁の局長クラスで1500万円、課長で1300万円。日本の平均賃金は約600万円ですから、以上の企業や役所はかなり高いということがいえます。ですから、中小企業の場合は平均的かさらに低いかのどちらかでしょう。トヨタや日立・東芝といったところは年齢がほぼ賃金額、つまり30歳は30万円、40歳は40万円と考えてよいと思います。公務員は別にして、民間企業の場合はいずれも労使交渉を通じて、勝ち取ってきたものなのです」。

「1ヶ月働いて20万円、30万円程度。これは賃金です。給料というのは、経営者がたっぷり儲けた中から50万、100万をドーンといただく、この違いですね」。

次週に続く

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