第2回 ヘンな親がいっぱい!!

幼児教育に関わって17年の中川さんは言う。
「私達、幼児教育の現場にいる人間が、“園は親を育てる場”とか言ってしまうと、ものすごい反感を買うと思います。それは、今の親って子供を預けてやってるんだ。という考え方をしていますからね。ちょっと問題が起きると、すぐに『いいです。園長先生とはなしますから』ですし、園長が折れなければその次には『訴えます』という言葉が出てきます。実際、訴えられたりしては園長も面倒なので、こちらサイドに非がなくても謝ることが多いですね。そして私達現場が注意を受けます。
すごく理不尽だと思います。でもそれが現実なんです」。

「例えば遠足の日、親が寝坊して、子供が遅刻した。園からバスで出発しますから、ギリギリまで待っています。でもそのギリギリの時間にさえ来なかったので、止む終えず出発しました。その結果、その子は遠足に参加できなかった。その子供が遠足に参加できなかったのは誰の責任ですか? 私は寝坊した親の責任だと思います。でも、後日その人、怒鳴り込んできました。
『うちの子供は遠足を楽しみにしていたのに、置いていかれた!! なんでもう少し待っていてくれなかったんだ!』と。
だから『本当にギリギリまで待っていたんですよ。それでも来られなかったし、園児全員の予定をあなたのお子さんのためだけに変えるわけにはいきませんよね』というと、
『それは分かります。分かりますが、うちの子は遠足を楽しみにしていたんです』。とおっしゃるんです。もう、議論の余地がないですよね。分かっているといいながら、なにも分かっていないでしょ」。

「体操着が必要な日に、子供が忘れたとします。それも先生が悪いって言われるんです。お母さん方と毎日の連絡帳があるんですね。そこにその週の予定や、持ち物などを書いたプリントを添付して、そこには〇月×日、体操着を用意。と書いてあるんです。それでも、そのお母さんは、『だって先生、直接言ってくれないんだもん。わかんないよォ』と言われました」。

「お母さん達との連絡帳には、子供の健康状態を記入する欄があるんです。その子はその日、朝から下痢だったんですね。それで大丈夫かな…と心配していたのですが、翌日の連絡帳の“昨日の夕ごはん”の欄を見てビックリ!  “和民でいろいろ”って書いてあったんですよ。大人だってお腹の調子が悪い日には、居酒屋での食事は避けたいくらいですよね。
それで、数日後にさりげなく、『お子さんの体調の悪い日に、居酒屋さんでごはんだったみたいですが、大丈夫でしたか? できれば、そういう日は…ねぇ』といったら、
『なんで、先生にそんなことまでいわれなきゃなんないのォ? 先生におっこられちゃったぁ』みたいに言われて。
もう、情けなくなりますよ。私達は茶髪の高校生と話しているわけじゃないんですから」。

「でも、こういう親御さんがこのひとだけと言うわけではないんです。多かれ少なかれかなりの割合でこういった要素を持っている。
つまり、親の生活のペース、時間帯に子供を合わせるのが当たり前。子供だから8時には寝なさいって、昔は言いましたよね。今の親たちはそんなこと、関係ナシ。子供も一緒に居酒屋で食事して、カラオケ屋さんに行って、深夜0時に帰宅することになっても何の問題も感じない。
子供たちの発育や成長のことを考えれば、そんな時間まで起きていることが、彼らにとって良くない事は分かるはずです。そういうことを考えていない親が、あまりにも多すぎますよね」。

「それから、こういったケースとは逆に、新聞、雑誌、テレビなどの情報を熱心に勉強された子育て情報で、理論で子供と接しているようなお母さんも多いことも事実です。子供に対して熱心なことは、いいことなのですが、子供に対して“良い子”を求めすぎる感があります。そうすると子供はお母さんに誉めてもらうことがうれしくて、彼らなりに良い子を演じるようになります。つまり親の前でいる自分と、そうでない自分の二面性を持った子供になるんです。そのことは、ある意味でかなり恐いことだと思います」。

「一番問題なのは、そういう親の生活態度や、考え方が子供にストレートに影響することだと思います。それで11年前の子供と、今の子供たちが違って見えたのだと気がつきました」。


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