 |
 |
 |
 |
| |
悪 因 サラリーマン意識
「印刷会社というのは、労働基準法スレスレくらい、働いて仕事をこなさないと成り立たないのが現実です。でもうちの会社はほとんど残業がありませんでした。会社としての売上が落ちていることも公開されています。でも、それによって危機感を感じる人はいませんでしたね。みんな給料が出ているから大丈夫だろうって思っているんです。
会社の売上が落ちることなんて、他人事なんです。
ちょっと、冷静に考えればすぐに分かることでしょう。給料を支払っている母体である会社の総収入が減っていれば、そしてその状態が継続すれば自分達の給料は出なくなりますよね」。
事勿れ主義。
これが会社の空気だったという。
小林氏はこう言う。
「役員から現場の人間まで、彼らが一番大切だったものは“保身”だったと思います。だから決して、上の立場の人間に進言をするというは一切なかったですね。そんな状態ですから、会社そのものや、仕事の質が向上することなんてあり得ませんよね。
彼らのほとんどが、これだけの仕事をしたからこれだけの給料をもらう。という意識ではなく、8時間会社にいたのだから、あるいは何年間会社にいるのだからこの給料をもらって当然。という考え方なのです」。
「3ヶ月後には、職がなくなるということを考えるのではなく、3ヶ月あるからどこか、働く場所が見つかるだろう。組合にも入っているし、見つけてくれるだろう…という感じでした。だから解散が発表されてから、1ヶ月くらいは何の動きもなかったですから。
私達は、その日から常に組合員名簿を携帯して、昼もそれから夜も毎日、採用を考えてもらえそうな会社の方に会って相談していました。もちろん、その頃は仕事はまだ動いていましたから、けっこう大変でした」。
「ある時、まだ若い組合員と彼の次の職場のことで話をしたんです。すると彼は今の会社と同じように、“週休2日、残業なし、自宅から近い勤務地、最低現在と同じ給料”という条件を出してきました。印刷業界で残業なしなんて会社、他にはありませんからね。思わず頭に来て、“そんな条件の揃った会社を人に探させるつもりなのか!”といってしまいました。でも、彼から返ってきた言葉は“そんなきついこと、言わなくっても…”でした。
私だって、自分の就職先を探したい状態なのに、組合員全員の就職先が決まるまでは自分のことは後回し…と思って頑張っていたときにそんなことを言われてしまうと……」。
「普通の会社では配属が変わることなんて当たり前のことですよね。
営業職は外部の人と接触することが仕事で、現場の人間はそれぞれの担当の仕事を自分のペースでこなす。まったく正反対と言ってもいいくらいの違いがあります。それだけに自分のポジションを動きたい人間はいません。
けれど、会社の方針や必要性は、そう言うこととは別の問題ですよね。
自分の上司に盆暮れの付け届けをするんです。そうすると転属の話は出ないんです。付け届けをするほうも、されるほうも、そのことを承知の上でこういうことをする。いやな話でしょう。でもそれが現実に行われていたこと。
かと言って、自分の仕事に誇りを持っているわけでもないんです。
私は営業ですから、○日に仕上げますとお客さんに約束しますよね。で、現場に持ち込むと、できないって言われてしまうんです。私は現場の経験もありますから、自分でできることであれば、そのために残業になっても自分でやってしまうんです。それを見てもさっき、忙しくてできないと言ったその人間が、残業することもなく先に帰るんですよ」。
「仕事をするプライドって、なんなんでしょうね。仕事をして給料を取ることの意識の違いとでもいうのでしょうか。私には理解できませんでした」。
|
 |
 |
「Confeito」に掲載の記事・写真などの無断転載を禁止します。
すべての著作権は(有)アルティスタと著者に帰属します。
転載を希望される場合は、 当編集部までメールでご連絡ください。
|
|
 |
|
|
|