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◆先日3月31日、創業40余年、年間売上約15億円、従業員約70名を抱える印刷会社が解散をした。
この不景気の時代、そんなに珍しい話ではないかもしれない。
だが、どんなによく聞く話であっても、その当事者、関係者にとっては青天の霹靂だ。
今月は“会社の解散”の只中に在った方に話を聞いた。
兆 候 噂
誰もが希望を抱く新春。
1月11日、新世紀最初の出勤から数日しか経っていない日にそれは発表された。
「今年3月31日を持って、会社は解散することになりました」。
当事者はもちろん、周辺の関係者達にとっても、それは青天の霹靂だった。
当の印刷会社、規模としてはさほど大きい会社ではないが、印刷業界はそのほとんどの小さな会社が支えているのが現状である。
しかも、印刷会社といっても印刷機を1台も持たず営業だけを行い、いわゆるブローカーとしての動きをしている会社も少なくない。
そんな中で、この会社は印刷機もあり、印刷現場や製作現場もあり、堅実な仕事をしていた。しかも、国内有数の大手企業の系列会社でもある。
この親会社の存在もあって、会社がなくなることなど誰も予想していなかったのが現実である。
2001年、新世紀明けてすぐの事件だった。
小林浩二氏(仮名)、46歳。在籍年数24年。営業課に所属する。小林氏は、組合の副委員長を務めるため、その噂は他の従業員よりは、早く耳に入った。
「このままの状態でいくと、会社が解散せざるを得ないらしい」。
小林氏は、複雑な思いでその噂を受け止めた。
「最初に話を聞いたのは、昨年12月のことでした。その事実に対しては、特に驚くということはありませんでした。この会社の経営サイド、従業員サイドの双方にいろいろな問題点を感じていましたから。
それに私は、従業員を守る組合の副委員長でもありますから、とりあえず組合と会社側で改善策を講じて行けば……ということしか考えませんでした。
今思うと、会社の存在がなくなるということをすぐ近くに迫っている現実としては思わなかったんでしょう。まだ、利益率や生産効率を上げる方向を会社側と組合とで話し合っていこうと思っていました」。
「組合というのは、働く人間の生活を守ることが使命です。その生活を守り、向上させるために必要なお給料、賃金を守るために春と秋に経営側と闘うんです。ですから、どんな状況になっても指名解雇だけは避けなければなりません。会社側が決めたリストラとか、そんなことは受け入れられないんです。
でも、人員的にスリムにしなければ、会社そのものがなくなるとしても希望退職者を募るとか、方法はありますでしょう。希望退職者に対して、できるだけ良い条件を整えて双方が良い方向に進めることができるように、考えていました」。
しかし、現実に出た答えは「会社の解散」であった。
小林氏自身も含め、数ヶ月後には働く場所がなくなるという事実がつきつけられたのだ。
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