■在籍する会社を退職するには様々な思いと事情がある。正社員の立場を離れることで、失うものと得るもの。そのバランスを見極めて、その時自分自身にとって大切なことを優先した生活スタイルを実行できる“派遣”のビジネススタイルは、女性にとってありがたいシステムかもしれない。
▼  ▼  ▼  ▼  ▼

●宮田 千恵美さんの場合

「そろそろ結婚のことを考えて前の会社を辞めたんです。かといって花嫁修業でただ家にいても仕方がないので、短期でも仕事ができる派遣会社に登録してみました。前の会社は5年以上いましたので最後の方は、半分惰性で出勤していました。少人数の会社だったので仕事はたくさんありました。自分の担当している範囲の仕事以外にも支払いの手続や入金の確認など経理みたいなことも係っていて。焼却プラントの設計・施工の会社だったので、1ヶ月で動くお金が千万単位なんです。 私なんて、ただの雇われ社員の立場なのに支払日が近づくと支払いができるかどうかドキドキしていました。そんなこともあってその会社に在籍しつづけることもかなり辛くなっていたんです」

「いわゆる “寿退社”という状態とは違いましたが、ごく近く結婚するつもりなので短期でも仕事ができる事は私にとってはうれしいことです。
実際に派遣されて知らない会社で働くことは、5年以上同じ会社にいた私にはすごく新鮮でしたね。新しい仕事に挑戦する感じがあって、楽しく仕事しています」

宮田さんは現在35歳。短大卒業後、クレジット会社に5年勤務。印刷関連の会社に2年、そして焼却プラントを扱う会社に5年勤務した。その真面目な性格のためか、ひとつの会社での在籍年数が長い。派遣歴は1年とまだ短い。

「派遣に登録をする場合、長い在籍年数というのは評価を得られるものでした。当然のことながらOAにも対応できるって申告しますよね。派遣会社もそれなりに信用してくれますが、自分自身としては自分のスキルに対していつも不安があります。
パソコンができることは決してウソではないのですが、その会社によって操作設定に違いがあったりしますから。仕事のことは聞くことができても、機械操作に関しては聞けない雰囲気があります。それがちょっと恐いですね」

「私の場合、派遣期間がはっきり決まっている仕事を受けることにしています。終わりが見えていることは精神的にすごくラクなんです。派遣社員だからこその大きなメリットです。女子社員って、仕事以外のわずらわしいこともたくさんありますでしょう。でもそれを派遣という立場が、自然に排除してくれる場合が多いんです。人間関係の気を使うことも少ないですし、与えられた仕事だけを責任持ってこなせばそれでOKですから。その場所(職場)にいる目的が明確で、精神的には正社員と派遣社員の落差がこんなにも大きいとは思いませんでした」

まだ期間が短いためか、正社員としての経験が長かったためか、現在の宮田さんは派遣の立場を存分に楽しんでいる様子。なによりも派遣社員には精神的な負担がないことが、彼女にとっては魅力のようである。

「それに派遣される会社は結構大手の会社ばかりです。短大卒では入社資格さえない会社でも働くことができますでしょう。この経験は得がたいものです。派遣社員ならではです。もう新たに就職する気持ちは全くありません。もし仕事を続けていくとしても派遣社員として仕事をしていくことを選びます」。

女性の場合、お茶汲みやコピーに代表される女の子仕事からの解放は意外に大きいことなのかもしれない。正社員でいる時は当然のこととして受け入れていても、一度そのようなことをせず、担当の仕事だけを確実にこなすことで評価される経験をして初めてそのわずらわしさや精神的な開放を感じるのだろう。
この精神的な開放が、今の女性達にとって派遣社員の大きな魅力なのだろう。


「Confeito」に掲載の記事・写真などの無断転載を禁止します。
すべての著作権は(有)アルティスタと著者に帰属します。
転載を希望される場合は、 当編集部までメールでご連絡ください。