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■仕事現場での派遣社員の環境は、派遣される会社によって千差万別だという。時給は派遣先の条件で左右されることではなく、本人のスキルによって決まる。
同じ時給を得るのであれば、少しでも働きやすい職場の方がいいに決まっている。しかし、職場の内情は実際仕事を始めてからでなければわからないのが実際である。
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●増本 よしみさんの場合
現在37歳の増本さんは、結婚して6年。その前31歳までは九州の福岡で生活を送っていた。だんな様の転勤に伴い、初めて上京した。
「福岡から出ることなんて、まったく考えていなかったので、東京に転勤が決まった時はビックリしました。でも結婚したばかりでしたし、当然一緒に上京して。
福岡では、ずっと仕事をしていましたが、就職活動は結構大変なんです。福岡って大きな会社が少ない。東京や大阪に本社がある大きな会社の“福岡支店”ばかりです。ですから、ほとんどが従業員数も少ないですし、誰かが辞めて欠員が出ない限り募集もないんです。
福岡でそんな現状を経験しているので、右も左も解らない大都会・東京で自分の力で就職先を探すなんてことは私にとっては“不可能”という感じでした。それで派遣会社に登録をしたんです」
30歳を過ぎてからの初めての東京での生活は、それなりの不安が大きかったことは想像しやすい。
「ラッシュ・アワーのすし詰め状態の電車で通勤するなんて私には考えられないことでした。当時は埼京線沿線に住んでいたので、夫もすごく大変そうで…。彼のアドバイスで10:00就業開始の会社を探してもらいました。
それで派遣された会社が、ある出版社の経理部でした。その職場がすごかったんです」
「その出版社も派遣社員を使うのが初めて。派遣される私も派遣の立場で仕事をするのは初めて。双方が初めてですから、もう今考えると…! その出版社全体の社風は、極めて自由な雰囲気なんです。窓の外にはテラスがあって、自由にお茶することが出来たり、和気あいあいの感じで。
でも経理部だけは違って、仕事中は一切私語禁止。フロアの扉さえIDカードが必要でしたから、トイレに立つ時も社員の方に断る必要がありました。テラスで休憩なんてとんでもない。私達、派遣の契約条項の中に「OA作業をする場合は1時間に対し、必ず10分の休憩を取るようにしてください」という一項があるんです。それで、担当の係長さんが生真面目な方だった性もあって時間が来ると「増本さん、休んでください」って必ず言うんです。でも席から離れてはいけないんです。その場で10分ボーッと座っているんです。周りの方はカリカリ、カリカリ、忙しそうにしているのに。これは辛かったですよ!」
それでも増本さんはその職場で仕事を続けた。
「派遣社員っていうのがそういうものなんだろうと思っていましたから」
「それ以降、3社の会社で仕事をしました。でもそれぞれ結構問題がありました。引継ぎもろくにされないまま、私ひとりだけが経理部という会社もありました。支払方法や書類のある場所さえ解らずに、泣きながら仕事をしたこともありますし、長期という条件で契約をしているはずなのに、担当している仕事が終了するからと2ヶ月半でいきなり打ち切られたり。この場合は派遣先の会社が悪いのか、派遣会社が悪いのか、それぞれから聞こえてくる話に食い違いがあって、どちらに問題があったのか私には解りませんでしたが、とにかく迷惑を蒙ったのは私でしたから」
それでも増本さんは派遣会社の利用はメリットが大きいという。
「自分で就職先を探すことは無駄なことに思えるんです。募集している会社を探し、履歴書を送り、面接に行き、結果が出るまで時間がかかって。それよりは派遣会社からの電話を待っていた方が気が楽です。
色々な職場で、結構大変な思いもしましたが、同じ派遣のスタッフに恵まれていましたから、仕事を離れれば楽しい時間も、貴重な友達も出来ました。派遣という立場はそれなりに楽しいですよ」と明るい笑顔で語ってくれた。
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