最終回●物置小屋に寝泊り。御宿、鴨川の日々
■鴨川に家を建てたからといって、ずっと鴨川に暮らすかどうかはわからないと小沢さんは言います。別の場所に行ってまた何かを始めたくなるかもしれないし、仕事や生活の状況によってまた東京で暮らすことだってあり得ると。 ただいつも、人生飽きずに楽しんでいけるよう、行動しようというのが小沢流。自分がおもしろいと思える人生は自分でつくっていくのです。 今の小沢さんは、仕事をして、家づくりをして。南房総の穏やかな空気につつまれながらも、タフな毎日を送っているようです。
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ゆるやかに続く御宿の浜辺には、休日ともなるとたくさんのサーファーがやって来てラッコのように浮かんでいる。これから冬に向かっては、海風が強まり砂が飛び、浜はどんどん姿を変えていく。
今の住まいは180世帯もある大きなリゾートマンションです。普段は5、6世帯のリタイア組の夫婦が住んでいるだけの静かなマンションです。
イラストの仕事は夕方までに宅急便に出せば翌朝には東京に着きます。多少の不便はあっても、通信手段の発達したこの社会では、時間と距離はその差をますます小さくしています。これからはどこに住むかより、何をするかがとても大切になりそうです。
今、鴨川に家を手作りしてますが、そこに東京から来た友人夫婦を案内した時に、この庭の花は最初からあったのかと聞かれました。家が出来上がってないのに庭に花が咲き乱れているのが不思議だったんでしょう。
今を楽しくやっていくためにあちこちと気を散らします。空を行く雲も、山々の紅葉も、ひと時としてその姿をとどめてはくれません。その時々の美しさも、感動も今だけのものです。家づくりの手を休めて畑の土を耕します。来年咲く花を思いながら肥料も少し撒いておきます。前の住まいから運んできた鉢植えは、元気が良いと思っていたらすっかり大地に根を張ってビクともしません。 でも私にとってこの地も通過点、明日に向かう今日の宿です。だからこそ今日の出来事を大切に楽しみます。
「小沢さあん、風呂に入らない!!」。隣家の河野さんが呼んでいます。河野さんのところは着工から半年ばかりで引越して来て、暮らしながらの家づくりの日々です。バブル時代の荒波を乗り越えてきた60歳の野武士のようなパワフルさで、素人とは思えない立派な家を作っています。
私も物置小屋のプレハブの片隅に寝泊りしながら早朝から家づくりのこの頃です。
「もう長いこと美味しい物、食べてないね」。女房がぼやきます。家が出来たら料理の勉強をしなくてはなりません。陶芸も、本格的な木彫も、家づくり体験記も書かなくてはと思います。まあ、うまく完成したらということですが。
そうそう、家づくりの総予算はざっと500万円位です。小さな家ならこの半分ぐらいで出来るかもしれません。もちろんこれは材料費だけです、後は自分の体力と知恵をフル活用して思い切り楽しんで。なまった身体をリフレッシュするには最適だと思います。都会での生活に飽きた人は是非実行してみてください。少しはアドバイスできるかもしれません。
(c) Kazuo Ozawa
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