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最終幕 「ダーク広和の手品の愛し方」
「師匠が病床から復活し、元気になってもう一度舞台に立ったときは……ねぇ。
ちょうど、それくらいの頃から、舞台に呼んでもらえるようになってきたんです。当然一生懸命舞台を務めますよね。舞台を下りてから、スタッフや周りの方にやっぱり師匠に良く似ているね…。なんていわれることもありました。そう言われると嬉しかったですよ」。
日本と海外ではマジックのステイタスがまったく違う。
海外、特にヨーロッパは、宮中の王様のためにマジシャンが存在した。そのためマジシャンはある意味エリートであった。現在でもマジシャン養成の学校がある。アメリカでも元々ショービジネスの土壌が違ううえ、近年ではイリュージョニストといわれる、デイビット・カッパーフィールドのようなカッコイイ存在が注目されている。
「日本は仕方がないんですよ。日本の手品の世界には歴史的な背景がありませんもの。今でも企業や学校などの講演会やパーティのアトラクションとしての出演依頼が一番多いのが現実です。
でもね、手品って楽しいでしょう。性別や年齢に係らず、誰でもが楽しめる数少ないモノだと思います。僕だって、手品を披露することも好きだけど、見るのも大好きです。デイビット・カッパーフィールドなんて、最高ですよね。ちょっと自慢なんですけどね、日本公演の時、最後に13人が舞台に上がって彼に消される出し物があったんです。僕、その13人に選ばれて消されちゃったんですよ。いいでしょう!!」
この話をしている時のダーク広和氏の目は輝いていた。本当に子供のように。
「もちろん、舞台に上がってからはアチコチきょろきょろと見て、仕掛けはしっかり見せてもらいましたが、でも本当にワクワクでした」。
この言葉を聞いて、ダーク広和という人がどんなに“手品”の世界にはまっているかがわかったような気がした。
彼にとって、手品の世界とは小学生の頃、デパートの実演販売を見てワクワクした、“えっ! なんで! 不思議”と思った気持ちがそのまま、いまでも新鮮なままで存在しているのだろう。
よく、「初心忘れず」という言葉を耳にする。その言葉には、本当の初心を忘れてしまっている前提がある。忘れてしまっている、あるいは忘れてしまうことだから、忘れてはいけないという戒めが必要なのだ。
ダーク広和氏の場合、「初心そのまま」!
これは並大抵のことではない。それどころか、意識してできるものではない。
言葉にはしないが、喋りが得意ではない彼が、喋りが得意なダーク大和氏に似ているとまで言われるようになるまでには、かなりの努力を重ね、師が病床に伏せったときも悩んだことと思う。すべてがいつでも、順風満帆ではなかったはずである。生活もしなければならない。社会的にもメインの表舞台に立つという訳でもない。
それでありながらも、「初心そのまま」を自然体でいながら、貫き通すダーク広和氏の生き方は“尊敬”の一言である。
「これからは、マジシャンの若手を育てていくつもりです。それから舞台やマジックの演出もやりたいですね。3年に一度ヨーロッパで世界中のマジシャンが集まる世界大会があるんです。その大会で一番権威ある部門で、なんと日本人の大学院生が優勝したんですよ。過去にナポレオンさん達が3位に入賞したことはあったのですが、優勝ですよ。彼なんかと一緒に舞台が出来たら楽しいでしょうね…」。
段取りと仕掛けの中で展開されるマジックショーで活躍していたダーク広和氏が、今までとは違う形で仕掛けることを考えているようだ。
心の底から楽しめる、ダーク広和のもうひとつのマジックの世界を早く見たいと思う。
●●Information●●●●●●●●
ダーク広和さんご自身が作られているホームページがあります。
ダーク広和さんをもっと知りたい方、マジックに興味がある方、ぜひ一度アクセスしてください。サイト上でのマジックも楽しめます。
http://www.dark-h.com/
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