第3回●「古いお酒との出会いで、はまりました」

「飲食の世界に入ったのは、料理からでした。料理学校に通いながら、150席くらいあるレストランの厨房でアルバイトをしていたんです。食事の席が100、バーの席が50席でしたか。
厨房の仕事というのは、お客様から戻ってきたお皿を見て、自分の仕事を自分で判断する。でも、バーカウンターにいるバーテンダーさんたちは、お客様に直接接して、評価を受ける。そのストレートな状況に魅力を感じてお酒の勉強を始めたんです」。

「お出しするカクテルやお酒に自信があることは、あたりまえのことです。基本はお客様はお酒を召し上がりにくるのですから。でも、いいお酒とかお好きなお酒を飲むだけだったらご自宅でも出来るわけですよね。でも、自宅で飲むのと、バーで飲むお酒って同じお酒を飲んでも全然味が違いますでしょう。
どういう場所で、どんな気持ちでお酒を飲むか。精神的なことってすべてに影響しますから、だからバーには“やさしさ”がいちばん大切なんです」。
内田氏の店“タリスカー”の内装の主役は古木。奥行きあるカウンターも、ちょっと広めのテーブルも時間の経過を感じさせる木の素材。それらにも内田さんのいう優しさがあふれている。

「もともと、飲むのは好きでした。お酒を集めるようになったきっかけは、10年位前のことなんですが、ある時知り合いのお店の人がお酒を借りに来たんです。2回あったのですが、オールドフォレスタとブラック&ホワイトというお酒でした。用意しておいたものが切れてしまうことって、時々起きるんですが。その時に、返していただいたオールドフォレスタとブラック&ホワイトが貸してあげたお酒のビンとはちょっと違ったんです。で、よく見ると20年前のものだったんです。飲み比べてみたんですね。そうしたらこれがおいしかった。20年から25年位前のお酒は、大量生産をしていないし、造り手がこだわりをもって造ることが出来た時代で、とてもていねいに造られていて質がいいんです。この時古いお酒って素晴らしいことに気がついたんです。その経験があって、古いお酒に興味を持ってお酒の深さにはまりましたね」。

「2年前のお店のオープン当初は揃えたお酒の8割くらいがそういう古いお酒でした。ですからお酒が好きで、お酒のことを良くご存知のお客様方にはとても喜ばれました。この10月にもお酒のラインナップの見直しをして、また古いお酒を充実させるつもりです」。

店の名前にもなっている「タリスカー」もスコットランド地方、スカイ島で造られているシングルモルト・ウイスキーの名前。内田氏の好きな銘柄のひとつだ。
「タリスカーというお酒は、シングルモルトをお飲みになる方は皆さんご存知です。モルト・ウイスキーは総じてクセがあるのですが、そのなかでもちょっとソフトなクセがある。そんな風な存在になれるといいかな…と思って」。

お店のご紹介
BAR TALISKER(バー タリスカー)
東京都中央区銀座7-5-12 藤平ビルB1F
Tel:03-3571-1753
営業時間 月〜金曜日 18:00〜2:00
     土曜日   18:00〜23:30