 |
 |
 |
 |
| |
第2回●「僕はお酒に愛情がありますから」
“バーテンダー”という名称。一般的には“バーテンさん”と言われることが多い。“バーテンダー”とは“バー+テンダー”という言葉である。
ご存知のように、“バー”とは止まり木。そして“テンダー”は優しい、心を使ってという意味だ。つまり“バーテンダー”とは止まり木にいる優しい人。という解釈になる。
「寂しいことですが、今はバーテンダーとしての仕事をしている人が少ないように思います。その多くがバーテンなんです。普通お客様はその言葉の違いなんて考えないでしょうし、それどころか、バーテンダー達自身でさえそのことを意識している人は極少数だと思います。なんとなく手元にあるお酒を売って、何も考えずに毎日を過ごしているバーテンが多すぎますね」。
「そういう意識の低さが本来のバーの役割である、心の憩いの場所としての働きを出来なくなっている一因でしょうし、この優しさというのは、お客様に対してだけでなく、お酒に対しても優しくなければならないはずなんです」。
「今、私のお店にはバーボンやリキュールなども含めて600種類以上のお酒を用意してあります。そのうちシングルモルト・ウイスキーは80種類くらいをお売りしています。店には200種の用意はあるのですが、私の店でお客様にお酒をいい状態でお出しできるのがそのくらいなものですから。
お酒は生きていますので、開封して空気に触れることで味や香りが変わります。密閉して保つのですが、ビンの中のお酒の残り方によっても変化するんです。
開封して時間が経っているからといって、一概に味が落ちると言うものでもないんです。
特にシングルモルトはデリケートなので、まさに一期一会です。
店の名前は、シングルモルトの銘柄から選びました。店名にしたタリスカーも10年ものを始め数種類を用意してありますが、そのように揃えてしまうとシングルモルトだけですぐに500本くらいになってしまいます。でも、開封してからお酒の状態があまり変わらすに出せる範囲は80本くらいなんです」。
「シングルモルトの蒸留所って、そのほとんどが本当に小さいんです。例えば、アイル オブ ジュラというお酒があるんですが、これはジュラ島で造られているんです。ジュラ島で造られているお酒はこの1種類だけ。それも蒸留所のある町全体で作っているんですね。といっても酒造りだけで暮らしているわけではなく、ある人は郵便局員をしながら、ある人は消防の仕事をしながらとか、掛け持ちで一生懸命守っているんです。しかも彼らは自分達で造ったお酒は滅多に飲まない。お祝いのときとか、特別なときしか飲まない。そのくらい貴重なんです。バーテンダーであれば、そういうことまでちゃんと理解して売るべきです。そういったお酒の背景を踏まえていればもっと愛情を持って、もっとお酒を大切に出来るはずだと思うんですが」。
「僕はお酒に対して愛情がありますから」という言葉だけを聞くと、ちょっと理解が出来なかった。このような話をされて初めて、内田氏のいうお酒に対する“愛情”がすこし分かった気がした。
お店のご紹介
BAR TALISKER(バー タリスカー)
東京都中央区銀座7-5-12 藤平ビルB1F
Tel:03-3571-1753
営業時間 月〜金曜日 18:00〜2:00
土曜日 18:00〜23:30
|
 |
|
|
 |
|
|
|