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日本文化を進化させるデザインをする小林シゲキ氏
海外で受けた評価が、自らのデザインを見直すきっかけ。
悩んだ末にみつけたテーマは「和のテイスト」
日本の文化である着物の伝統を取り入れた洋服は
新しく、そしてどこか懐かしい香りがする。
そんな洋服を作り出すデザイナーは、
常に、世界を意識して創作を続けているのです。 |
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小林シゲキさんが1997年に立ち上げた、オリジナルブランド「SHIGEKI KOBAYASHI」の最大の特徴は「和」のテイスト。麻などの天然素材と、着物の染付けという日本の伝統的技法の組み合わせ。シンプルな形とモノトーンの落ち着いた色使いが中心の小林さんの洋服は、その色合いや柄に日本人ならではの昔懐かしさを感じるのと同時に、どこか新鮮な驚きを与えてくれるのです。
日本人、そして自分ならではのデザイン
なぜ、小林さんは「和」をテーマしようとしたのでしょうか。その切っ掛けは1992年に溯ります。当時、友人達とロンドンで「LUKA KASTERI」というブランドを立ち上げた小林さんは、ポリエステルなどの新素材を使った洋服をデザインし、売り込もうとしました。ところが、外国の人々の反応は思ってもみないものだったのです。
「やはりヨーロッパでは、僕たちのような外国人のデザイナーに対して、自国の文化が背景に感じられるものを求めるのですね。彼らと同じようなデザインをしても、まったく意味がない。同じ洋服でも、日本人ならではのものを求めてくる。つまり、彼らの考える東洋的というかオリエンタルな雰囲気を持つものなのです。そこで海外のデザイナーには出来ない、自分ならではのデザインをと考えたとき、やはり日本の文化である『和=着物』を基調にしようと思ったのです」
伝統とオリジナルの調和
着物を洋服にするというアイデア自体は、それほど珍しいものではありません。最近では着る機会の少ない着物や帯を、洋服にリフォームしてくれるサービスも人気があります。しかし、リフォームはあくまでもリフォームにすぎず、決してオリジナルのデザインにはなり得ないのです。
そこで小林さんは、まず素材に麻を使ってオリジナル感を出すことにしました。伝統的な浴衣地の柄を参考にして、オリジナルのパターンをおこして染めたり、名古屋に江戸時代から伝わる有松絞や、有名な友禅染めなど、どれも着物の生地を作る職人の人たちに染色してもらった、オリジナルの生地から洋服を作ろうというのです。
また、洋服全体に着物の柄を入れるのではなく「着物のテイストを、洋服の中に記号化していれられればいいと思っているのです」と語ってくれた通り、ワンポイントとして効果的に使われています。たとえば、ワンピースの裾に絞りがあしらってあるというように、さりげなく、しかもキラリと光る個性を感じさせてくれるのです。
着物という文化の進化形
「着物って着る機会がほとんどありませんよね。日本文化を代表するものなのに、もったいない。未来に継承していくべきものだと思うのです。でも、着物そのままでは現代のペースについていくことが出来ない。そこで、洋服の形にして身近な所においてあげたいなと思って」
そんな小林さんは、現在ギャラリーでの個展を中心に活動を続けています。6月22日からは日本橋の高島屋のイベントに出品が決まっており、その後も鎌倉と大宮で個展の開催が決まっています。個展での活動を中心にした理由は、自分の洋服が作り出す世界を大切にしたいため。
「現在、一人で活動していく分には採算は取れています。今後も出来るかぎり、一人でやれる所までやっていくつもりです。その方が、自分の世界を大切に出来ますから」
最近では、アメリカなど海外からの引き合いもあると言います。一度、海外で躓いたからこそ、現在のスタイルを生み出し、そして再び海外にも目をむけている小林さんの洋服は、着物という日本文化が進化した形なのかもしれません。
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